『ひとつのことを長く続けるということ』 ~小学生の時に思い描いたレーサーの夢を追って~ 箕作(坂井)裕子(小 1976年卒)
『ひとつのことを長く続けるということ』 ~小学生の時に思い描いたレーサーの夢を追って~ 箕作(坂井)裕子(小 1976年卒)
平和学園小学校を卒業して半世紀、50年が経ちました。グラウンドではなく砂地に松の根がうねっている校庭で遊んだことや、さまざまな行事はそれぞれに思い出深いのですが、なかでも印象に残っているのが「秋の大運動会」です。中高の広いグラウンドで学園全員参加の、まさにお祭りのような特別な日でした。

でも、私は自他共に認める「運動音痴」。もちろんかけっこは常にビリ、球技も体操もできた覚えがありません。それでも運動会が好きだったのは、文化祭と並び中高のお姉様方と一緒の行事の特別感があったからかもしれません。
現在、私はラリーの選手として活動しています。半世紀前は「自他共に認める運動音痴」だった私が、その後モータースポーツの世界に身を置くことになったのですから、不思議なものです。エンジンの力に頼りたかった? からかもしれません。
ラリーはサーキットを走るレースとは違い、ドライバーとナビゲーターもしくはコ・ドライバーと呼ばれるふたりが乗って公道を走る競技です。私は40年ほど前にドライバーとして始めたのですが、当時は完全な男社会、すぐに実力の差を思い知らされ(運動音痴だし……)、それならとやってみたナビゲーターが意外におもしろく、結局現在まで続けてしまうことになりました。

ナビゲーターは道案内や競技中の時間管理を担う役割ですが、タイムを競う区間(スペシャルステージ=SS区間)では、道案内の意味がちょっと変わります。ラリーは山道を中心としたコースを合計で50km以上走るので、道の形状をすべて覚えることは不可能です。そのため、事前に下見走行をして、ドライバーと一緒に次のカーブは右か左か、どれくらい曲がっているか、路面はどうかなどをすべて書き込んだ「ペースノート」を作成し、本番ではそのノートの読み上げを聞いてドライバーが走ります。そのためこの形式のラリーでは、ナビゲーターはコ・ドライバーという呼称になります。勝負には様々な要素が絡み合いますが、やはりこの「ノートを使った共同作業」が、大きなウエイトを占めていることは間違いありません。私はこのコ・ドライバーをしています。
今年、卒業50周年ということで、学年同窓会を企画していただきました。私は当日参加することは叶わなかったのですが、幹事諸氏のご尽力により何人かの元旧友と繋がることができました。モータースポーツなんぞに関わっていると聞いて、かなり意外に思われたと思うのですが、驚いたことに「小学校の時の夢を叶えたんだね」と言ってくれた方がいらしたのです。レーサーになりたいと言っていた記憶はうっすらありますが、まさかそんなことを半世紀も覚えていてくれたなんて! 自分が続けてきたことに対してそのようなひと言をいただけたことは、ほんとうに嬉しいことでした。1学年1クラスで6年間というのは、お互いに自分が思っているよりも強い結びつきがあったのだなと、あらためて気づかされた思いです。
私はチームに恵まれたこともあり、幸いにもこの「コ・ドライバー部門」で全日本選手権のクラス別(注:排気量や改造範囲によって数クラスに分かれています)年間チャンピオンを3回いただくことができました。一応スポーツという名のついた分野のなかでも運動音痴(しつこい!)が取り組めるジャンルと出会えたことで、無意識のうちに「好きこそ物の上手なれ」に近づいたのかもしれません。還暦をとうに過ぎてしまいましたが、まだまだ現役です!
