『医師としてスタートラインに立って』 吉武杏奈(2018高卒) 

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『医師としてスタートラインに立って』 吉武杏奈(2018高卒) 

この度、臨床研修医として活躍されている吉武さんからお便りを頂きました。在学中にお父様を病気で亡くし、周囲にも支えられ医師を志されました。

私は現在、山口大学医学部を卒業後、山口県周南市にある徳山中央病院にて初期臨床研修医1年目として勤務しております。日々の診療に追われるなかで、高校時代の学びや出会いが今の自分を形づくっていることを、改めて強く実感しています。

アレセイア湘南高校での三年間は、学業の面はもちろん、人間的な成長を支えてくれたかけがえのない時間でした。少人数でアットホームな環境の中、先生方との距離が近く、勉強や進路で行き詰まったときには、気軽に相談できたことをよく覚えています。真摯に向き合ってくださる先生方の姿勢は、後に医師を志す決意を固めるうえで大きな支えとなりました。また、同級生とのつながりから学んだ互いを尊重する姿勢は、今でも仕事や人間関係の基盤になっています。

 

特に印象に残っているのは、毎年の「平和祭」です。クラス毎の出店準備では、細かい作業や意見の食い違いに直面することも多々ありました。しかしクラス全員で役割を分担し、先生方にも支えていただきながら一つのものを作り上げていく過程は、協力の大切さとやり遂げた時の喜びを強く感じさせてくれました。仲間と力を合わせて形にする経験は、医療現場でチームとして働く今の自分に直結していると感じます。病棟や救急の現場では、医師だけでなく看護師、検査技師、薬剤師、理学療法士など多くのスタッフと協力しなければ患者さんに最善の医療を届けられません。高校時代に体験した「一緒に作り上げる」姿勢は、確かに今の自分を支える大切な土台になっています。

山口大学医学部での学生生活は、専門知識を学ぶ喜びと同時に、医療の奥深さや厳しさを実感する日々でした。特に臨床実習では、患者さんに直接向き合う経験を通じて、医学とは単なる学問にとどまらず、人と人との信頼関係に支えられていることを学びました。この姿勢は、アレセイア湘南

高校で大切にされていた「個人を尊重する」という校風と重なり、今なお私の根幹に息づいています。

 

徳山中央病院は山口県東部の基幹病院であり、救急医療から高度専門医療まで幅広く担っています。研修医として救急外来で初期対応にあたる日もあれば、手術室で執刀医の補助を務めることもあり、時には自ら手技を任されることもあります。知識や技術の不足を痛感し落ち込むこともありますが、その一方で、患者さんに向き合いながら成長していく実感を得られる毎日は充実感にあふれています。

 

また、ありがたいことに今でも当時の担任の先生方とは交流が続いており、帰省した折にお会いすると、学生時代と変わらない雰囲気で楽しく会話をしたり、一緒に食事に行ったりしています。医師として社会に出た今でも、変わらず温かく接してくださる先生方の存在は、大きな励みとなっています。

こうして振り返ると、高校時代に培った「人と協力し合い、一つの目標に向かう力」と「人とのつながりを大切にする姿勢」が今の自分を大きく支えていると改めて思います。小さなコミュニティだからこそ育まれる温かな人間関係や、先生方の献身的な指導は、社会に出た今こそ一層そのありがたみを実感します。アレセイア湘南高校で過ごした時間は、私にとってまさに原点であり、これからも揺るがぬ支えとなるでしょう。

 

医師としては駆け出しですが、日々の経験を糧にし、信頼される医師へと成長していけるよう努力を重ねてまいります。そしてこれからも、母校で得た学びや出会いを胸に、自分の歩みを進めてまいります。