卒業生へのメッセージ 中学高等学校校長
私は、キリスト教主義学校を求めた就職活動を経て、学校法人平和学園高等学校に採用が決まりました。
最初の2年間は、平和学園小学校の職員室にも席がありました。私の教科は、保健体育です。小学校4年生の体育の後に、高校3年生の体育の授業を行いますと、年齢差もあり、指導のやり方が声掛けひとつでも違うことに戸惑うこともありました。それでも児童も生徒も明るく生き生きと成長する過程に携われたことは感謝すべきことでした。
その頃から35年程過ぎた頃の出来事です。あるパン屋さんで販売の方から「山田先生ですよねえ」と声を掛けられました。「はい、そうです。」と答えると、「先生が平和学園に勤められた時に、実はわたし、平和学園小学校の5年生でした。覚えていらっしゃいますか」と尋ねられました。確かにその方の顔つきや声に当時の面影がしっかりと残っていました。思いがけない再会に、その時代に手作りのサッカーゴールで休み時間にグラウンドで遊んだことや理科の実験で飛ばした熱気球のことなどを、走馬灯のように思い出すことができました。
また、平和学園幼稚園には、我が子がお世話になりました。幼少期に伸び伸びと遊び、友達と交わることにより、心身ともに成長させていただきました。その頃の園児が、卒園して10年後にアレセイア湘南中学校の一期生として入学してきました。彼らとは総合学習でのゴルフや部活などで数々の経験ができました。
私が教師として学ばせていただいたことの中で印象深いのは担任だった時代です。担任としてクラスの生徒と関われたのは、朝と帰りのホームルームです。「おはよう」という挨拶から始まり、帰りのホームルームで「さようなら」と、一日に最低2回顔を合わせることができました。ほんの短い時間でしたが、担任としては、「私たち一人ひとりは神の愛によって生かされているということ」を生徒たちに伝える場として大切にしてきました。クラスの生徒たちは十人十色、はっきりものが言える子、言えない子、それらの違う色が交じり合ってクラスというキャンパスにどんな作品が描かれるのかが楽しみでした。クラスの生徒一人ひとりは掛け替えのない存在ですから、個々の人格全てを受け入れつつ成長のサポートをしてきました。
ところで、私は大人になってからの人生の大半を平和学園で過ごしています。そこで学び、最も大切にしていることは、「平和は愛があってこそ実現するもの」ということです。74年前、平和学園はこのことばに表される精神に基づいて創立されました。
「神の愛を知る人を育てる学校」つまり、キリスト教主義学校です。
神の愛は平和の実現のために欠かせません。ですから、「神の愛を知り、私たちがお互いを大切にし合うこと」を伝えることが学園の使命ではないかと思っています。
さて、卒業生の皆さんに「神の愛」が伝わっているでしょうか。神の愛を知った皆さんはお互いを大切にし合って暮らしていますか。学園が伝えたことが現在の生活の中に少しでも生かされていれば、と願っています。
これからも学園をサポートしていただきたくよろしくお願い申しあげます。
アレセイア湘南中学高等学校 校長 山田 信幸